家電話をネットに接続すると、日本では考えられないことができる!

logo_tkF+Obihai私はtkF(シスクファクトリ)という社を運営している。そしてtkFは、アメリカ・シリコンバレーに本拠地を置くObihai Technology社と日本初のパートナーシップを組んでいる。

このObihai社は、現地アメリカで、とくにIT関連の情報メディアでは非常に有名で、これまでになかった的な発明精神あふれる技術者集団の会社である。技術に傾斜しているため、Webサイトを見る限りではその魅力は伝わってきにくいが、目の付け所がちょっと違う、楽しい会社だ。既に全米では多くのユーザやファンを獲得しており、商品群も安定したものになっている。

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このObihai社よりリリースされている機器、「OBi」は、非常に高機能で魅力的な機能をたくさん有している。まだ日本では馴染みの少ない機能が多く、解説するとなると、これがまたどうしても複雑になってしまい、理解いただくのに苦労する。知られていない機能を、根本部分から説明する必用があるため、一つひとつの解説がどうしても説明的になってしまうのが原因だ。私のプレゼン能力も大きな要因ではあるが、日本でOBiなどをリリースするにあたり、一番の障害が「商品説明」であることは間違いない。表現を変えれば、「理解を得られたら、素晴らしさが必ずわかる」ともいえる。アメリカでユーザの粋を超え、OBiファンを獲得しているその理由も、きっとわかるはずだ。

今回は、長文になるのを覚悟の上で、このOBiの特徴を解説してみようと思う。このたぐいのシステムに興味を持たれる方にとって、何らかの情報や知識となり得たら幸いだ。

connect-obi202OBiは、一般家庭などで使われている(電話線をモジュラージャックとする)電話機を、インターネットなどで利用されているイーサネットポートへ接続して利用できるようにするもので、ATA(アナログ・テレフォン・アダプタ)と呼ばれる機器である。ATAという機器自体は以前より多様なメーカーが商品を販売しているが、このOBiはこれまでのATAと一線を画する特徴を持つ。その特徴のうち、大きなものを2つ取り上げてみる。

bflets_index_topsmart_logoまず1つは、機器の設定がすべてOBiの専用サーバ上で行えるというもの。クラウド・コンフィグレーションである。OBiのポータルサイトへアクセスし、ログインすれば、自身で利用しているOBiの設定画面にアクセスができるようになっており、ここで設定が簡単に行える。たとえば世界各社でサービスされているITSP(インターネット電話サービス提供会社)のサーバアドレス、アカウントID、パスワードを該当箇所へ入力するだけでいい。それだけでインターネット電話が使えるのだ。その他にも諸々の登録や変更がWebブラウザ上で、いとも簡単に行える。日本でサービス提供されているFusion CommunicationsのIP-Phone SMARTも、登録すればすぐに使えるというわけだ。また、NTTひかり電話も内線登録して使うことができる。まだまだ日本ではコスト面でメリットの高いITSPは数少ないが、世界中には数多くの会社が非常に安価で魅力的なサービスの提供を行っている。電話を究極的に安く使うなら、こういった海外ITSPを利用すると、驚愕的にコスト削減が可能になる。

このクラウド・コンフィグレーションによる恩恵は、設定が簡単である以外にも、SIPとVoIPのプロトコル違いや、機器同士の相性やポートの問題が軽減するという面もある。どちらかと言えば、このメリットのほうがユーザは喜ばしいように思う。(クラウド・コンフィグレーションを行うには、もちろん事前にログインアカウントを作成し、利用するOBiをそこに登録する必要があるが、これ自体はさほど難しい作業ではない。)
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2つ目の特徴は、何と言ってもGoogle Voiceが世界中どこでも簡単に使えることだ。普通の一般家庭にある家電話が、アメリカの電話番号にて受通話できるようになるのだ。人にもよるが、このメリットは多大だ!諸経費や維持費など一切かけることなく全米各地の電話番号を用いて、日本であろうがどこであろうがその電話番号で受話・送話することができるようになる。さらに通話料も一切必要ない。すべて0円、文字通りのかけ放題だ!また、Google Voiceの細かなビヘイビア設定も魅力的で、たとえば朝9:00~夜17:00の間は電話をリングさせるが、それ以外の時間は留守番電話対応にしたり、土日は終日留守番電話対応。特定の人やグループに対してメッセージを変えたり、着信拒否・許可なども詳細な部分まで設定できる。これらすべては、Googleアカウントで管理できて、サイトへログインすることですべて登録変更が可能だ。また、Google Voiceの電話番号宛に電話があると、任意の番号へと転送する仕組みも無料で提供される。すなわち、対外的にはGoogle Voiceの電話番号さえ知らせておけば、こちらがどれだけ電話番号を変更しても、相手には一切通知する必要がなくなる。恒久的な代表電話番号となりえるというわけだ。複数人でのカンファレンスコールにも対応し、テキストメッセージもできる。留守録された音声データは、即座にメールへ送信され、おまけにメッセージのテキスト化も行ってくれる(β版英語のみ)。また、Gmailで周知であるが、今や世界一とも言えるGoogleのセキュリティフィルタを経由するので、いたずら電話もシャットアウトされる。したがって、安心して自分の電話番号をイン・パブリックにすることができる。

・・・言い出すとキリがなくなるが、これらの便利なサービスが、通話料含めてすべて無料なのは、大きな驚きに値する。日本では絶対に考えられない!アメリカでは、中小にとどまらず大企業までもが、代表電話番号をこのGoogle Voiceにするところが続出している。

2つ目の特徴は、大方がGoogle Voiceの特徴ではあるが、そんな機能を普通の家電話ですんなり使えるようにしてしまえるOBiのポテンシャルは素晴らしい。

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OBiは複数のモデルがリリースされているのだが、このうちOBi200OBi202の2機種が、特に優れた機能を有するものになる。OBi200は手のひらにも余るコンパクトなサイズ、OBi202は、手の平大といったところだ。SOHOをはじめとするオフィスユースとなれば、自ずとこれらのモデルを選ぶことになると思われる。これまでのATAと比べて違う、優れた機能をいくつかあげると、「電話・Fax両対応」「無線LAN対応」「ITSPアカウントを最大4つまで登録可能」などなど。ほかにもオートアテンダント機能や内線振り分け機能など、数多くの機能があるのだが、詳しくはsip-JPNのサイトを見ていただくとして、ここでは割愛する。

image_obi202「電話・Fax両対応機能」は文字通りである。インターネット電話はFaxの通信手法に若干の癖があり、非対応のATAだとうまく送受信ができないことがあるのだが、OBi200, OBi202はFax対応となる。

「無線LAN対応」も非常に便利な機能である。家電話につなげたOBiは、ルータなどのイーサネットポートへ接続することになるが、無線LANを使うことで置き場所の制約がなくなるのだ。電話・Fax機は、無線LAN電波をキャッチできるところであれば、どこにでも設置することができる。

「ITSPアカウントを最大4つまで登録可能」は、電話番号を用途や業務内容によって複数使い分けたい場合に便利だ。さらにOBi200は接続できる電話線ポートが1つだが、OBi202には2つのポートを備えている。これは電話とFaxを使い分けて利用するといった際に非常に便利だ。登録している4つのITSP電話番号で、それぞれどちらの電話ポートに接続されている電話機をリングさせるかの設定もできるし、同時に両方リングさせることもできる。

catch-image3また、外出時にスマートフォンやタブレットにインストールしたOBi専用アプリで自身のOBiを呼び出して、そこから電話をかけることもできる。スマートフォンやタブレットからOBiへの接続には通話料は必要ない。たとえばスマートフォンにて、これにより電話をかけた相手には、携帯電話番号ではなく家電話で利用している電話番号が通知されることになる。また電話代の節約にもつながることになる。

多彩な機能をもつOBi、日本でも上記の機能はすべて利用可能だ。だが問題もある。

日本の電話環境は、海外と比べると独自のものがあり、電話機に表示させる技術も、海外に比べると異なる部分があるのだ。たとえば、かかってきた相手の電話番号を電話機に表示させる、いわゆる「ナンバーディスプレイ」の仕組みも、独自の通信暗号化手順を利用している。このナンバーディスプレイの機能は非常に重要なもので、今や必需機能とも言えるのだが、残念なことにOBiは日本のナンバーディスプレイに対応していない。

電話がかかってきた際に相手の電話番号を知ることができないのは、非常に不便だ。だがじつのところ、OBiに限らず、巷でリリースされているATAの大半が、日本のナンバーディスプレイに対応したものはごく少数で、ほとんどが非対応であるのが現状だ。この方面にとって、日本の一般マーケットがまだ未成熟なのが大きな理由で、ニーズも少なくその特有性に合わせる必要もない。これはある意味致し方ないことと言える。

しかしそんなことを言ってては何も始まらない。パートナーである当社、そしてOBiのファンでもある私は、Obihai社の担当者を通じて技術者を紹介いただき、技術者へ幾度も依頼をかけた。

このあたりのことは、過去の当ブログにも記しているのだが、日本の電話機をObihai社宛へ国際郵便で送るなどして、連絡を取り合った。そしてそれが実り、日本のナンバーディスプレイにも対応するように、改良開発を行っていただけることになった。

brotherprt先日の当ブログに文字化けの症状を記したが、それからまた進展があり、現在、一部の日本メーカーの電話機を除けば、ナンバーディスプレイの表示が行えるようになってきている。私が利用している、今年リリースモデルのBrother社のFax機能付きプリンタも問題なくナンバーディスプレイが表示されており、完璧な国際対応Fax機として、実用レベルに達している。

もう少しのところまで来た。またこの間に、新たにブラジルでのOBiビジネスの話も出てきている。どんどん突き進んで行きたいところだ。

ちなみに商品はブログ右上のバナー「tkF BASEMENT」より購入いただける。

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